糖尿病のメカニズムと血糖値に働きかける成分とは?
糖尿病予防は、血糖値の急上昇を抑えることが基本となります。血糖値の上昇を抑制する成分にはいろいろな種類があります。
古くから活用されてきた成分や、近年の研究でその効果効能が明らかになったものまで、知っておきたい成分をご紹介します。
まずはそれぞれの特徴や、服用時の注意、作用のメカニズムなどをチェックしてみましょう。
サラシア
特徴
インドやスリランカなどを原産とする低木。インドでは古くからアーユルヴェーダ(伝統医学)で用いられてきた。
作用
- 糖の吸収を抑制
- 食後血糖値の上昇を緩やかにする。
- 抗酸化作用
- 高脂血症状予防
抑制のメカニズム
小腸で糖の吸収を促す酵素「α-グルコシターゼ」の働きを阻害
含まれている作物/食物
サラシア
有効成分
サラシノール/コタラノール
服用時の注意
血糖値低下作用があるため、糖尿病治療薬と併用する際には低血糖に注意
難消化性デキストリン
特徴
食物繊維である難消化性デキストリンは、食後の血中中性脂肪の上昇や血糖値の上昇を緩やかにしてする。
糖尿病用の特定保健用食品としても認定されている。
作用
- 血糖値や中性脂肪の上昇を抑える
- 腸内環境を整える
抑制のメカニズム
小腸で糖吸収を抑制し、脂肪の体内吸収も抑制する
含まれている作物/食物
トウモロコシやジャガイモなど
有効成分
見つけられませんでした。
服用時の注意
血糖値や中性脂肪を抑制するには、4gの量を摂取することが推奨されている
過剰摂取すると下痢を起こしやすいため注意
小麦アルブミン
特徴
血糖値が気になる方向けの特定保健用食品として認可されている。
作用
- 糖の吸収速度を緩やかにし、血糖値の急上昇を抑える
- 血中インスリン濃度を抑制
抑制のメカニズム
消化酵素(アミラーゼ)が糖を分解する働きを抑制し、糖の吸収スピードを遅らせる
含まれている作物/食物
小麦
有効成分
見つけられませんでした。
服用時の注意
小麦アレルギーのある方は摂取時には注意が必要
ピニトール
特徴
植物性インスリンと呼ばれることもある水溶性ビタミンの一種。
作用
- 血糖値の上昇を抑制
- インスリン濃度の上昇を抑制
抑制のメカニズム
血中の糖をエネルギーに変質させる作用を、輸送隊GLUT4の働きをサポートすることで促進
含まれている作物/食物
アイスプラント、イナゴマメ、ブーゲンビリア
有効成分
水溶性ビタミンの一種
服用時の注意
見つけられませんでした。
糖尿病予防のために、血糖値の上昇を抑制もしくや緩やかにしてくれる成分として挙げられるサラシアや難消化性デキストリン、小麦アルブミン、ピニトールはそれぞれ由来となる食物、作物が異なります。
例えばサラシアはインドなどを原産とする低木性の植物で、古くから糖尿病予防に役立つとして民間療法で用いられてきた成分です。
ここでご紹介している成分の中では、血糖値抑制作用が高い成分です。各国の研究者らが研究を進めていること、古くから人々に親しまれてきた成分であることなどから、他の成分と比べても特におすすめと言えるでしょう。
特定保険用食品として認定されている難消化性デキストリンや小麦アルブミンも植物由来の成分です。
難消化性デキストリンは食物繊維のため、腸内環境を整える作用なども期待できる一方で、摂りすぎによる下痢などには注意が必要です。
また、小麦アルブミンは小麦由来の成分ですから、小麦アレルギーのある方は、使用する際には注意が必要です。
ピニトールはここで紹介する成分の中では「糖をエネルギーに変えるのをサポートする」というメカニズムで血糖値上昇を抑制する成分です。
水溶性ビタミンの一種ですが、アイスプラントなどあまり馴染みのない食物由来の成分のため、効率的に摂取するならサプリメントが便利です。
このように、血糖値上昇を抑制する成分には様々な種類があり、特徴や血糖値抑制のメカニズムなどが少しずつ異なります。
ご自身のライフスタイルや食生活などと照らし合わせながら、ぴったりな成分をサプリメントとして補給してみてはいかがでしょうか?
インスリンの働きが弱まり血糖値が上昇
糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンの働きが弱くなることで起きる病です。
インスリンは血液中の糖分を分解し、細胞を活動させるエネルギーへと変換する働きをもっていますが、糖尿病になると血液中の糖分が分解されにくくなり、血中に多く残るようになります。
これが血糖値の高さとなって、健康診断などで判明するわけです。そのまま放置しておくと、合併症など深刻な病気をもたらす一因にもなりますので注意が必要です。
血糖値の上昇を抑える成分
サラシア
古くから糖尿病予防に使われてきた植物
インドやスリランカなど南アジア原産のつる性植物。古くから、幹や根をくりぬきコップにして使うことで、糖尿病予防など健康維持につながることが知られていました。これが科学的に証明されたのは、ほんの10数年前のことです。
メカニズム
小腸で糖の吸収を促す酵素の働きを阻害
サラシアに含まれる「サラシノール」「コタラノール」といった有効成分に、糖類の分解や吸収を抑える働きがあることが確認されています。糖類が小腸で吸収される際、「α-グルコシダーゼ」という糖を分解して吸収を促す酵素が働きます。この酵素の働きを、サラシアの有効成分が阻害。糖類が小腸から吸収されるのを抑えることで、血糖値の上昇を緩やかにしてくれるのです。
検証データからわかる作用
引用元:サラシアの驚きの効果(http://www.sarashia-kouka.com/tounyoubyou/sarashiakouka01.html)
食後血糖値の上昇が緩やかになることを実証
小林製薬が糖尿病予備群の被験者に対しておこなった臨床実験によると、毎食前にサラシアに含まれる有効成分を摂取することで、食後血糖値の上昇を抑えることが確認されています。また消費者庁がおこなった臨床実験においても、サラシアに含まれるサラシノールなどの有効成分を食前に摂ることで、α-グルコシダーゼの活動が阻害され糖の吸収を抑えられることを確認。食後の血糖値の上昇を緩やかにすることが判明しています。
サラシア由来サラシノールは、日本人健常者が食事の前に、1 回あたりサラシノールを 0.2 mg 含むサラシア属植物熱水抽出物を摂取することにより、糖の吸収を抑え、食後血糖値の上昇を緩やかにすることが明らかとなった。
引用元:消費者庁「飲む食べる私のサプリ 機能性情報」より(http://www.caa.go.jp/foods/pdf/A98-kinou.pdf)
こんな人はサラシアを積極的に摂取しましょう
食後の血糖値上昇をゆるやかにしてくれるサラシアは、血糖値コントロールをサポートしてくれる存在です。そのため食後の血糖値が高めの方、炭水化物や甘いものが大好きな方、糖分の摂りすぎや体型が気になる方にこそ飲んで欲しい成分です。
と言うのも大量の糖質を摂ると、血糖値が急激に上昇し、血糖値を下げるためにインスリンが大量に分泌されます。インスリンはそもそも使い切れない糖を脂肪に変え、体に蓄える作用を持っています。そのため、インスリンが大量に分泌されるということは、体に脂肪を蓄えやすくなるということなのです。
インスリンが分泌されすぎるのを防ぎ、正常に整えることは、肥満予防だけでなく糖尿病予防にもつながります。
こうしたことから血糖値の上昇をゆるやかにすることは、健康寿命を延ばすためにも大切ということがお分かりになるのではないでしょうか?肥満や糖尿病、将来の健康が不安な方は、ぜひ毎日の生活に取り入れてみましょう。
難消化性
デキストリン
血糖値&中性脂肪の上昇を抑える食物繊維
トウモロコシやジャガイモなどから抽出される食物繊維に含まれる成分です。糖分の吸収を抑えるだけでなく、脂質の吸収もカットしてくれるため、血糖値も中性脂肪値にも効果が期待される成分として注目を集めています。
メカニズム
糖の吸収を阻害&インスリンの活動にも好影響
難消化性デキストリンには、小腸で糖を吸収するのを阻害する働きがあることが確認されています。また、消化管内を刺激することにより、すい臓から分泌されるインスリンなどの活動にも影響を与えることから、血糖値の上昇が抑えられるとも考えられているようです。このほか、ビフィズス菌など腸内の善玉菌を増やす作用もあり、腸を整えることで便秘や下痢の改善にも期待されます。
検証データからわかる作用
引用元:大塚製薬公式HP(http://www.otsuka.co.jp/health_illness/fiber/about_fiber/type/dextrin/)
食後の血糖値上昇スピードがおだやかに!
難消化性デキストリンを配合したサプリを用いて、消費者庁が臨床実験をおこなっています。難消化性デキストリンを食前に摂り、食後30分と60分に血糖値を測ったところ、その上昇が緩やかになることが確認されています。また、厚生労働省でも小腸における糖の吸収スピードを緩やかにすることから、糖尿病に効果が期待される成分として推奨しています。
統計解析の結果、「食後血糖30分」「食後血糖60分」「血中濃度曲線下面積(AUC0-120min)の全ての評価項目において、対照食品群と比較して難消化性デキストリンの摂取群が有意に食後血糖値を低下させることが確認された。
引用元:消費者庁「アサヒスタイルバランス 機能性情報」より(http://www.caa.go.jp/foods/pdf/A22-kinou.pdf)
こんな人は難消化性デキストリンを積極的に摂取しましょう
ここまで見てきたように、難消化性デキストリンは食後の血糖値上昇スピードを穏やかにする作用や、腸内環境を整える作用があります。
そのため、血糖値が高めの方、太り気味の方に加えて、日頃から便秘や下痢に悩んでいる方にもオススメの成分といえるでしょう。また、健康診断で中性脂肪値が高めと言われた方にも、脂質の吸収をカットしてくれる難消化性デキストリンはオススメです。
糖尿病予防のために、食後の血糖値の上昇をゆるやかにするためには、よく噛んでゆっくり食べる、食物繊維を食事の最初に食べるなどいろいろな方法があります。とはいえ、外出先や仕事中に食事をする際には、なかなかゆっくり食べたり、野菜を先に食べたりといった対策をしたくてもできないこともあるかもしれません。そんなときには、難消化性のデキストリンが配合されているサプリメントをぜひ活用してみましょう。
小麦
アルブミン
小麦から抽出された安心のトクホ
文字通り、小麦の水溶性タンパク質から生成される成分が、小麦アルブミンです。日清製粉をはじめ長田産業や横浜市立大学など、産官学連携により開発された成分です。
メカニズム
消化酵素アミラーゼのはらたきをカット
でんぷん(糖)を分解する消化酵素アミラーゼの作用を阻害することで、糖の吸収スピードを遅らせるのが小麦アルブミンの働きです。消化酵素アミラーゼは唾液に含まれる成分で、糖質を体内へ吸収させるのをサポートする作用があります。この作用を小麦アルブミンによって遅らせることで、血糖値の上昇を緩やかにしてくれるのです。
検証データからわかる作用
引用元:リブロン・オンラインショップ(http://www.bst-japan.co.jp/seibun/wheat_albumin.html)
血糖値の上昇やインスリン濃度の抑制に一定の効果
小麦アルブミンの生みの親でもある日清ファルマがおこなった臨床実験では、食事と一緒に小麦アルブミンを摂る場合と摂らない場合を比較。食後30分で血糖値を計測した結果、小麦アルブミンを摂ると上昇が緩やかになることが確認されています。それと同時に、血中インスリン濃度も抑えらることも判明しました。また、日本栄養・食糧学会誌によると、小麦アルブミンを摂ることで腹痛や下痢といった消化器官の変化も認められず、安全な成分と証明されています。
※WA=小麦アルブミン
WA摂取による腹痛、下痢、放屍などの消化器症状は観察されなかった。WA摂取により、消化器症状を伴わずに、米飯摂取後の血糖上昇が抑制され、食後高血糖の予防にWAi摂取が有用である可能性が示された。
引用元:J-STAGE「ヒトにおける小麦アルブミンの単回投与による食後血糖上昇抑 制作用と安全性」より(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs1983/52/5/52_5_285/_pdf)
こんな人は小麦アルブミンを積極的に摂取しましょう
小麦アルブミンにはサラシアや難消化性デキストリンと同じように、食後の血糖値上昇をゆるやかにする作用があります。そのため、糖尿病予防や肥満予防に取り組む方にはオススメの成分です。加えて、デンプンを消化する酵素・アミラーゼの働きを穏やかにしてくれるのため、デンプン質(小麦粉や米)などの多い食事をする機会が多い方にもオススメです。
また、すでに軽い糖尿病と診断されている方にも小麦アルブミンは有効。小麦アルブミンを3ヶ月間摂取したところ、有意な改善が見られたことも報告されていますので、サプリなどから摂り入れてみてもいいでしょう。
軽症糖尿病患者18例 (日本) の二重盲検プラセボ対照比較試験において、コムギアルブミン125 mg/食、2~3ヶ月間の摂取により、HbA1c7.0以上8.0以下の軽症糖尿病患者での有意な改善を認めた (2000111672)
ただし、小麦アルブミンは小麦に含まれる水溶性のたんぱく質。食事から摂ろうと思うと、どうしても摂取カロリーが高くなってしまいます。効率的に、かつ、肥満予防のために小麦アルブミンを活用するなら、サプリメントを上手に活用するといいでしょう。
ピニトール
別名「植物性インスリン」の水溶性ビタミン
アイスプラント、イナゴマメ、ブーゲンビリアなどの植物から抽出される水溶性ビタミンの一種です。糖をエネルギーに変える働きをサポートすることから、別名「植物性インスリン」ともいわれています。
メカニズム
血中内の糖をエネルギー源に変換する作用をサポート
他の成分との大きな違いは、糖の吸収を遅らせるのではなく、糖をエネルギー源へ変化させる働きをサポートすること。それがピニトールの特徴です。筋肉細胞などに吸収された糖は、GLUT4という輸送体によってエネルギー源に変換されます。そのGLUT4の働きをサポートするのがピニトールです。ピニトールを摂取することでGLUT4が頑張り、血中内の糖をエネルギーとなって消費されるのです。
検証データからわかる作用
引用元:ヘルシーナビ(http://www.healthynavi.co.jp/healthFood/pdf/pinitol.pdf)
血糖値の上昇やインスリン濃度の抑制に一定の効果
韓国のソウル国際大学がマウスを使った臨床実験をおこなっています。これによると、ピニトールを摂取したマウスは摂取しなかったマウスに比べ、食後血糖値の上昇が緩やかで、かつ素早く降下していることが確認されています。また、近畿経済産業局も人間で臨床実験を実施。「血糖値を調整する希少な物質」と結論付けています。
ピニトールは特定保健用食品に多く認められる様な、いわゆる食後 血糖の上昇を抑える作用機構とは異なったメカニズムによって血糖値を調整する希少な物 質である。ピニトールは、体内に摂取されるとメチル基が外れた環状糖であるカイロイノ シトールという物質に変換されることが確認されているが、このカイロイノシトールは、 インスリン代謝の主要メッセンジャーであることが分かっている。
引用元:平成23年度戦略的基盤技術高度化支援事業より(http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/portal/seika/2011/23152501006.pdf)
こんな人はピニトールを積極的に摂取しましょう
ピニトールは、血糖値上昇を抑制するため、血糖値が高めの方にオススメであるのは言うまでもありません。加えて、ピニトールがインスリン耐性化により引き起こされる不妊症の改善の効果があるという研究が報告されていることから、不妊症の方にもオススメの栄養成分といえます。
1987 年に C.R.Narayanan はブーゲンビリア(Bougainvilleaspectabilis)の葉中に含まれる糖類が通常マウスと糖 尿病誘導マウスの血糖値の上昇を抑制し,その物質がピニトールであることを最初に報告した19).その後,糖尿病20)や多嚢胞卵巣症(不妊症の一種でインスリン耐性化により惹起)の病状を改善することも報告されている.
出典:(PDF) 『大豆の新規機能性成分の開発 : 黒大豆種皮ポリフェノールとピニトール』日本食品科学工学会誌,60(9),2013[PDF]
さらに、ピニトールは、長期摂取により油っぽいものの食べすぎによる肥満の改善作用があることも、マウスを使った実験で明らかになっています。糖尿病予防だけでなく、太り過ぎがきになる方、脂っこい食事が多い方にもいいでしょう。また、筋肉にエネルギーを効率的に誘導し、パフォーマンスを高める効果も期待されているため、運動をする方にもオススメの成分です。
ピニトールの長期摂取は高脂肪食による肥満を改善することが雄性 C57/6 マウスで確認されており,特に白色脂肪組織の蓄積が強く抑制される23). 〜中略〜 ピニトールは筋肉におけるエネルギー誘導による運動パフォーマンス向上などの効果が得られる
出典:(PDF) 『大豆の新規機能性成分の開発 : 黒大豆種皮ポリフェノールとピニトール』日本食品科学工学会誌,60(9),2013[PDF]
血糖値に働きかける成分は多数存在
糖尿病予防に効果が期待できる成分は、以下の2つに分類されます。
- 糖の吸収を遅らせることで血糖値の上昇を穏やかにするもの
- 糖をエネルギーへと変換するのをたすけるもの
いずれの場合も、食後の急激な血糖値上昇を抑えたり、血糖値の低下に貢献したりすることが確認されています。これらの成分を摂取するには、サプリメントがもっとも効率的です。そこで、各成分を含んだおすすめサプリメントをご紹介します。
その他の予防法
そもそも糖尿病とは
血糖値が異常に高く、重病を引き起こす可能性が高い病気
糖尿病は、血液中の糖分が多くなっている状態です。自覚症状がないため、気付いた時には症状がかなり進行しているケースもあります。改善のための治療を適切におこなわないと、3大合併症に代表される重病にかかり、場合によっては命の危険もあります。
ただ、「異常にのどが渇く」「尿の量や回数が多い」といった前兆はいくつかありますので、健康診断の血糖値が高いのとこれらの症状を感じたら、再検診することが重要です。
前兆・初期症状
糖尿病を重症化させないためには、前兆や初期症状に敏感になることが大切です。「肥満体質の人は糖尿病になりやすい」と思われがちですが、スマートな人でも糖尿病になる可能性はあるため、のどが渇きやトイレに行く回数が増えたなどの症状を感じた場合は、なるべく早く病院で検査を受けましょう。以下のページでは、糖尿病の前兆や初期症状をまとめています。
糖尿病の原因
「甘い物を食べすぎると糖尿病になる」と聞きますが、実はこれは誤りです。単に糖尿病といっても、1型糖尿病や2型糖尿病、妊娠糖尿病など種類は様々で、原因もそれぞれ異なります。もちろん、原因が違えば治療法も変わってくるため、どのような原因がありどのような治療法が有効なのかをあらかじめ知っておくと良いでしょう。
糖尿病の患者数・死亡者数
糖尿病患者は年々増加傾向にあり、厚生労働省が28年に発表した「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる者」は1,000万人程度となっています。また、年間死亡者数は1万人を大きく超える結果となっているのです。患者数と死亡者数は共に男女で差があり、どちらも男性の方がやや多い傾向にあるでしょう。以下のページでは、糖尿病の現状を数字で分かりやすく解説しています。
糖尿病の合併症とは
糖尿病の怖いところは、病そのものの症状だけでなく、病気の進行と共に様々な合併症が起こるという点でしょう。合併症には色々な障害が存在しますが、代表的なのは糖尿病性神経障害・糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症という3大合併症です。その他にも注意すべき合併症があるため、それぞれの原因や症状、対処法などを確認しておきましょう。
糖尿病のサイン・自覚症状
肩こり
スマホを使う時間が長い現代人にとって、肩こりは日常的に起こるものです。そのため、あまり深刻なイメージはないかもしれませんが、その肩こりは数少ない糖尿病のサインかもしれません。実は、糖尿病と肩こりには深い関係があり、放っておくと症状が悪化する可能性があるため、糖尿病における肩こりの原因や対処法などの理解を深めておくのが重要です。
性欲の低下
糖尿病を発症すると、性欲の減退や低下、男性の場合は勃起障害(ED)になるなど、性生活に支障をきたすケースが多く見られます。特に、勃起障害を発症するリスクは、健康的な人と比較して2~3倍ほど高まることが分かっているのです。糖尿病による性欲の低下というデリケートな問題と上手く向き合っていくためにも、まずはその原因や症状、予防法などをチェックしておきましょう。
糖尿病によって引き起こされる虫歯や歯周病
近年では、糖尿病を患っている人ほど虫歯や歯周病になりやすいことが分かっています。一方、歯周病になることで血糖コントロールが困難になるとも言われているため、毎日のセルフケアによる口内の健康維持が非常に大切です。「きちんとケアをしているのに、歯周病になってしまった」「前よりも虫歯ができやすい」と悩んでいる人は、糖尿病の可能性も念頭に置いておく必要があります。
やけにのどが渇く
糖尿病の初期症状の1つに、のどの渇きが挙げられます。必要以上に水分を摂取してしまうほどのどの渇きに悩んでいる人は、糖尿病を患っている可能性があるかもしれません。ではなぜ糖尿病になるとやけにのどが渇くのでしょうか?以下のページでは、糖尿病によるのどの渇きの原因や注意点、予防法などを紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
立ちくらみ
糖尿病の症状が進むと、立ち上がったり起き上がったり時に立ちくらみを感じるようになります。中には糖尿病の初期症状として立ちくらみが現れる人もいるようで、糖尿病の進行と共に回数が増えやすいです。原因は合併症の中でも早い段階で発現する糖尿病性神経障害で、そのままにしておくと重篤な症状を引き起こす可能性があります。
足のしびれ
糖尿病を患っている人の中で足のしびれや痛みを感じている人は、合併症である糖尿病性神経障害を発症している可能性が高いです。また、糖尿病と診断されていない人も、糖尿病性神経障害にどのような特徴があるのかを知っておけば判断の参考になるでしょう。糖尿病による足の痺れについての知識を学び、病気の予防や通院の参考にしてみてください。
尿の量・回数が多い
トイレに行く回数が増える「頻尿」は、糖尿病のサインの1つです。また、頻繁にトイレに行っているのに尿の量が多い・変わらない「多尿」も、糖尿病の初期症状として挙げられます。ではなぜ糖尿病になるとトイレに行く回数が増えたり尿の量が増えるのでしょうか?以下のページでは、糖尿病における頻尿や多尿の原因や注意点などを紹介しています。
食後の倦怠感や眠気
疲れやすい、たっぷり休んでも疲れが取れない、倦怠感が続く、食後に激しい眠気が起きるという状態は、糖尿病の初期症状として当てはまります。特に、食後の倦怠感や猛烈な眠気を感じるケースが多いです。このような症状を感じている人は、「最近疲れているから…」とそのままにしておくのではなく、糖尿病の発症を疑う必要があります。
急激な視力の低下
日常生活において、急激に視力が低下することはまずあり得ません。そのため、心当たりがないのにも関わらず急激な視力の低下が発現した人は、糖尿病の疑いがあるでしょう。しかも、この症状は糖尿病の末期症状として挙げられることが多いため、早急に対処する必要があります。ここでは、糖尿病と急激な視力の低下について、関係性や原因などを紹介しています。
Q&A糖尿病に関する10の疑問
- 健康診断で糖尿病予備群を言われたら?
- 空腹時血糖値が110mg/dLを超えたら糖尿病予備群ですが、すでに糖尿病になっている可能性もあります。再検査も検討しましょう。
- 糖尿病予備軍とは?健康診断の結果について詳しく見る
- 太っている・肥満気味の人は糖尿病になりやすい?
- 肥満気味の人は、インスリンの働きを弱めるホルモンが出やすいという研究結果もあり、糖尿病になりやすいです。
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- サプリメントの飲み方は?
- すでに治療をおこなっている方は、血糖値を抑えるとされるサプリメントは要注意。医師に相談することが大切です。
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- グルコサミンは効果なし?
- 一定の効果は認められるものの、血糖値のコントロールが安定できない人には効果がないという論文もあります。
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- L-アラビノースやコエンザイムQ10とは?
- L-アラビノースには糖の吸収を阻害する作用が、コエンザイムQ10には糖と結びついて燃焼をサポートする働きがあります。
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- HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)って何?
- 糖と結びついたヘモグロビンが、どれくらい含まれるかを測定したものです。血糖値が正常でもHbA1cが高いと糖尿病の可能性が極めて高くなります。
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- 家庭用の測定器ってどんなものがある?
- 主に薬局やドラッグストアなど指定登録店で販売されています。機器は1~2万円くらいのものが多く、そのほか専用の針や試験紙なども必要です。
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- 喫煙者は糖尿病にかかるリスクが1.4倍になるという調査報告もあります。そのメカニズムについて紹介します。
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- EDと糖尿病の関係性は?
- 糖尿病の合併症のひとつに「糖尿病性ED(糖尿病性勃起障害)」があり、健康な人と比べかかるリスクが2~3倍もあります。
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