糖尿病は重症化すると失明を引き起こす可能性もあります。もちろん、糖尿病になってすぐに目に異常が現れるわけではありません。だからこそ、ジワジワと進行していく糖尿病の怖さに気付けない場合もあるのです。
まずは、糖尿病だと診断された方の体験談をご覧ください。
発症から20年で視力に異常が…
糖尿病を発症したのは、20年も前のこと。仕事がらお酒の席での付き合いが多く、不摂生な生活を送っていたことが原因です。
自覚症状がないこともあって、通院日の数日前から急に血糖値を抑えるため食事に注意する程度で、治療に対して真剣に取り組んでいませんでした。
視力低下を感じたのは、パソコンの画面が見えづらくなったことに気付いた時。最初は老眼になっただけだと思っていたのですが、眼鏡を使っても視点が合いませんでした。
単なる目のカスミではないと気付きはじめた頃には、視野が狭くなって一部が欠けていたり虫が飛んでいるように見えたりしたので、慌てて眼科へ。診断結果は、糖尿病の合併症によるものでした。発症から20年も経ち他に異常が出たわけでもなく、なぜ今さら目にきたのかが信じられません。眼科ではレーザー治療を受けたのですが、失われた視力は取り戻せないとのこと。さらに眼底出血の可能性も示唆された後、案の定出血しました。
眼科で医師が人差し指を立てて「これは何本に見えますか?」と聞いてきた時、目の前にある指がまったく見えないことがとてもショックだったことをよく覚えています。
糖尿病の合併症のひとつに糖尿病網膜症という障害があります。これは眼球を覆う網膜の血管が詰まり、目に障害を与える病気です。
血糖値の高い状態が続くと、血管を詰まらせて血流不良を起こしたり血管の壁に負担をかけたりするようになります。特に目は毛細血管が多く、こうした症状が起こりやすい場所です。
そのまま放置し続けると、眼底出血、硝子体出血、網膜剥離、さらには白内障といった障害を引き起こす可能性があります。
体験談にあるような「視界の一部が欠損している」「小さな虫が飛んでいるように見える」という症状は、糖尿病網膜症がかなり進行している場合に現れるものです。何よりも早期に発見し、早期治療に取り組むことが重要になります。
とはいえ、糖尿病治療をするために内科には足を運んでも、眼科に行くことは少ないでしょう。自覚症状がなくとも、年に一回は眼科での定期検査を行うことが合併症を抑えるひとつの方法でもあります。視力が低下してから通っても、完治する可能性は極めて低いという実情を考えれば、眼科にも定期的に足を運ぶことが大切です。
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